ふと、猫を飼ってた頃を思い出した。

束縛男と昼から、ぼーっとして過ごしてたら、

ほんの近くから、子猫が必死で鳴き続けてる

声が聞こえてきた。


すっごいでかい声で、つい、どこにいるのか、

探しに行かずには居られなかった。


そして、となりの車庫のトラックの底にいた。

あたしは、なんとかその猫を引っ張り出して、

まず、身体を洗って、牛乳でもやるかとか思ってたら、

猫缶も開けてしまってたら、まだまだ母乳を飲む段階

だろうに、必死で食べてた。


うるうると言う名前にした。

初めこそは、毛とかまだらで、

妹が言うには、


「汚くって、触る気もしなかったよ」


って、言うくらい貧弱な子猫だった。


で、うるうるって名前にしたのは、

ご飯を食べてると、涙を流してたから。

そりゃ、感謝の涙じゃないっては、

分かってるけど、うるうるって、可愛いよねって。


で、育ってゆくうちにだんだんやせ細ってたのが、

太っていって、まるで何と言うか、お腹だけが膨らんでる

風船みたいな体型になって、子猫が少々大きくなった

程度の大きさにしか育たなかったけど。


本当に可愛い猫だった。擦り寄ってくるというよりは、

頭突きをかますくらいの勢いで、擦り寄ってくる珍しい

猫だった。


そして、ビニール袋を丸めて投げると、とったたたたと

走っていって、袋を口にすると、あたしの近くにそれを

置いて、もう一度投げてと言ってたんだ。


何度かやってあげてたけど、もう、やめよってすぐ

辞めてしまうあたしだった。


目が白い膜が覆われてるのが、気になって病院にも

行ったけど、治りませんよと言われた。


しかし、うるうるは別におかしな行動も取らないし、

目も何とか見えてるらしくって、もう、この目なのは

仕方ないことだよねってことで、とにかく可愛がった。


でも、誰かさんがいりこを食べ過ぎて、げろりんした

いりこを食べるうるうるには、参った。


でも、可愛がり過ぎて、食べさせちゃいけないものとか、

贅沢すぎるものは滅多にあげてなかった。


せめて、たまに刺身くらい食べさせてやればよかったのにと、

思った。


自分だって、焼肉食べたくなって、一人で行ったことくらい

あったじゃないって、思うと猫って可哀想だなって思う。


うるうるがあの世に行って、13年。


あの猫より、可愛い猫なんてどこにもいない。

どこにも・・・・・・。


そして、くろぼうって呼んでた猫が出産をしたら、

乳母役を買って出るうるうるだった。


それには、くろぼうもきーっとも言わずに、

うるうるのしたいようにさせてた。

仲が良かったんだろうね、二匹には

あたしたちには分からない、友情が

あったんだよね。


でも、とうとううるうるも身篭った。

こんな子どもみたいな猫でも、

妊娠するんだなあと不思議に思ったけど。


でも、ある日のこと。

うるうるが下半身から血を大量に流して、

ぐったりしてて、妹が(本人、覚えてないそうだけど)


「大丈夫よ、うるうる。すぐ、病院に連れて行って

上げるから」


って、うるうるの前足を握って、そう言い聞かせたら、

震えなくなったって。


そして、流産して、もう、子どもも望めない身体に

なってしまったうるうる。


で、妹の引越しが何度か続いて、とうとううちで

飼ってくれない?って、話になって、

預かりはしたけど、家猫なのに、外猫に

しちゃったもんだから、トラックかなんかで

撥ねられて、即死した。


うるうるは、道路を渡って、あたしのんちに

来るつもりだったんだ。


おなかも減ってたんだろうし。


結局、お腹が減ったまま、死んじゃったんだね。


ひどいよね、一泊とかしてくるからこんなことになって。


そして、うるうるがあたしの部屋に入り込んでくるのを、


「もうっ!あたしは、ネコアレルギーなんだから、

入ってこないで!」


って、外に追い出したことすらある。

今、思うとうるうるは単にあたしに甘えたかっただけだろう。


それを思うと、もう猫とか飼えない。


ひどい飼い主でしかなくって、ごめん。


でも、つやつやしたあんたの毛並みは好きだった。

別に毛づくろいしたわけでもないのに、つやつや。


そして、可愛がってくれるひとに対しては、愛情を

たっぷりくれる猫だった。


もう、会えないのか。もう・・・・・。