心療内科や精神病院を転々とし続けた私とひと時、係わり合い、親しくなったかと思いきや、急になんの前触れもなく、去っていった、こころ病んだひとびととのことを書こうと思う。


 初めての心療内科で出会った40代くらいのきれいな女のひと。多分、彼女の方から話しかけてきたと思う。その心療内科には、喫煙室があり、彼女だけでなく、他にも話しかけてくるひとびとがいた。中には、初対面なのに、通院し始めたいきさつをいきなり始めるひともいて、面食らったこともあった。


 彼女と、何度か喫煙室で話しているうちに、外でお茶でもしようと言う話になった。待ち合わせ場所は、心療内科に近いモスバーガーだったはずだったが、約束の時間が過ぎても来ないので、携帯で聞くと、心療内科からは結構遠いマクドナルドで待っているとのことだった。そこで、私はどうせ通り道にモスバーガーがあるので、こちらに向かってくれた方が合理的じゃないかと思い、こちらに来てくれませんか?と、言うと、じゃあ、今から向かうねとの返事をもらった。


 が、2時間くらい待ったが、彼女は来ないどころが、連絡さえなかった。もう、こりゃ、来ないなと思い、私が横着した約束をしたから、怒ったのかなあと思ったが、彼女に詫びの連絡さえしなかった。


 しかし、それから数年後。彼女から、手紙が来た。内容は、とにかく連絡をください!と、そんなことばかりが書かれていて、前述した一件について、一言も触れられていないことがひっかかった。なので、返事をだそうかな、どうしようかなと思いながら、その手紙はバッグに入れっぱなしにしていた。


 ある日。バス停にバッグを置き忘れてしまったことを、バスに乗って帰路の半分あたりで気づいたのだが、急行のバスだったため、途中下車できず、家の近くの駅で降り、引き返した時には、もう、バッグは誰かが持ち去ったらしく、なかった。


 と、言うことで彼女とは縁がなかったものだと思って、今に至る。


 

次に。

内観療法と言う、聞きなれない療法を受けにある精神b病院に入院したら、1週間だけ同室になった女のひととのこと。


 その療法中は、必要最低限のこと以外は、いくら同室でも話しかけたりはしないことになっていたが、彼女が、

「同室なのに、何も話さないなんて、不自然だよね」

 と、言ってくれたことがきっかけで、仲良くなった。彼女が先に退院したので、手紙のやり取りくらいの程よい友達の関係が何かいいなあと思っていた。


 ある日。彼女から連絡があり、旦那さんが土日いないので、泊まりに来ない?とのお誘いがあったので、喜んでいた私だったのだが。


 彼女には、2歳か3歳の娘さんがいて、保育所に娘さんを迎えに行ってからそれから、彼女の様子がみるみる変化してゆくのに気付いてしまった。私が、どうのこうのじゃなかったんだとは思うんだが彼女は、不機嫌な表情になっていったのである。


 そして、夜になる頃、私はソファで居眠りをしてしまっていた。それも気に食わなかったのだろうか?それとも、勧められてもいないのに、お風呂に入ってしまったのがいけなかったのか?彼女のご機嫌が直ることはなかったようだった。


 翌日。当時、ダイエット食品のスープをお湯で溶かそうとして、少し粉をこぼしたら、

「あ~あ~。こんなにこぼしちゃって」

 と、私の目の前できゅきゅっと、粉を布巾で拭く彼女がいた。

 内心、この神経質さが、病気を招いたのだろうか?と、思うと同時に、きつそうな人生だなと感じた。


 それから、最寄の駅まで彼女は車で送ってくれたので、すぐに感謝の気持ちをこめたはがきを送ったのだが、返事がないままである。


 とりあえず、つづく。