「失礼じゃないですか。謝って下さいよ」

  と、男性はワンギリで携帯に2回電話してきたが。番号だけでは、誰かとは気付かなかったため、つい好奇心に勝てずに、電話してしまったら、この始末。

「何で、あなたにそんなことされなきゃならないんですか?」

 まず、ワンギリのことを責めると、「あなたから、電話をかけて欲しかったんですよ」とのこと。お金が惜しいのか、気分の問題なのか、そんなことさせて何が面白いと言うのだろう。また、男性の理論から言うと、「愛してます」と、告白してきたら「私も♪」と、答えるべきとでも言うのか。

 そして、話を長引かせたくなかったので、謝る誠意も何もないのに、淡々と謝罪すると、「誠意が見られませんね。もう一度、謝って下さいよ」と。はらわた煮えくり返るような屈辱を覚えたが、もう一度謝罪した。


 更に男性は、タクシー代2千円を要求してきた。誰も、終電なくなるまで、引き止めた覚えはない。そのお金は男性の父親からのものだとか、深夜遅くに帰ったから、怒鳴られたなどと言う理由で、請求するのも、理解しがたい。やれやれ。住所を訊くだけ、訊いて払うつもりだと言う姿勢を見せたと思わせて、翌日速攻に電話番号を変えた。もちろん、お金など送らなかった。


 そして、楽しみしてた予定通りに、ジャズバーで行われた女の子のジャズシンガーのライヴを観にいったのだが・・・・・・。携帯が気になる。また、男性からかかってきたら、何と答えようかと。今、思うと電源をオフにしとけばよいだけの話だったのだが、それすらも思いつかないくらい、動揺していたのだ。

 ライヴでは、楽しもうと無理やりテンションを上げたりしたが、居ても立ってもいられなくなり、アンコールを待たずに、カプセルホテルへと向かった。そして、お風呂に入り、カプセルに入って、寝ようとするのだが、前回はまるで気にならなかった、他のお客さんの出すささいな音で、眠りかけてもびくんと反応するくらい、ナーバスになってしまっていた。


つづく