冬の夕方。
あたりは、インクのブルーを
垂らしたように、青く暗い。
森とまでは言えない林の中、
北風が吹き、枯れ葉が
少しばかり残った枝を揺らす。
カシャ、カシャ、カシャ・・・。
ざわざわざわ・・・。
思わず目を閉じて・・・。
でも、風がやんだら、訳もなく
怖くなる。
ひとりなのが、この上なく切なく
淋しくなる。
早くこの檻の中から、立ち去りたいような
いつまでも、空を見上げていたいような、
どっちつかずの私。
笑わないでね。でも、笑ってもいいよ。
こんな時、あなたに抱きしめられたら、
息を止めてしまうことでしょう。
ただ、時が止まることを祈るばかりでしょう。
こんな夢のような出来事を
想像している私を
あなたは、いつものように、
顔を強張らせて、
何も言ってくれないのでしょうか・・・。