ロビンと名付けたその木は、

高さ二十センチくらいの、小さな

パキラの木である。かかりつけの

病院に何鉢かあり、いつも眺めている

内に、自分の部屋にも一つ欲しくなり、

買ったものだ。

この木は、根元が少し太く、葉は

ユーカリを一回り大きくしたくらいの

細長いもので、花は咲かない。

シンプルな木だ。

 スケールは違うが、昔、教科書で見た、

「バオパブの木を思い出させる。その木は、

乾燥地帯に生息する木で、根元が丸く

膨らんでいた。つまり、乾季をしのぐため、

根元に水分を蓄えようと、ちょうどとっくりの

ような形をしていて、なかなかユーモラスな

木だった。

 ロビンを買うときに、「育て方は?」と、

訊くと、「土が乾いたら、たっぷり水を

やってください。それと、日当たりの

良いところんい置いてください。

育てやすい木ですよ」とのことだった。

 植木鉢はその店にはなかったので、

癒えの近くの園芸屋さんで鉢を買い、ついでに

植え替えてもらった。これで、ロビンも

しっかり根付いて、居心地よく、育って

くれそうな気がした。

初めは、幹の先端から、薄黄緑の

小さな芽がちょこんと顔を出していた。

あんまりにもかわゆいものだから、

「いい子、いい子。かわゆい(はぁと)」

 と、気付くと話しかけたりしていた。

 それから、十日も経たない内に、

小さな芽は、小さな五枚一組の葉を

広げ始めた。小さいながらも、

大きくなった葉のミニチュアが何とも

愛らしく、だんだん愛着が増し始めた。

 それから、更に二週間も経つと、

芽は十センチほど伸び、葉も

五~六センチほどの長さまで

成長した。

「うわぁ。早いねぇ!」

 何年か経てば、ロビンはきっと、

私の身長を越し、見上げることに

なるのだろう。今から、そんなロビンの

成長が、楽しみである。