妹が自殺して、一ヶ月とちょっと。


もう、一ヶ月も経ったのかと、驚いてしまう。

あの死に顔がどうしても忘れられない。


今にも、目を覚ましそうなのに、もう二度とは、

開いてくれない瞳。


恋人の話によると、自分が会社復帰すると同時に、

妹と結婚するために、まずは周囲を固めることから、

始めようとして、お母様の実家を訪ねて、土足のまま、

縁側に入ろうとする、永遠君にとまどう妹をそのまま、

上げたし、挨拶と言うものも特別ないままで、そうめんを

頂いたとあった。


すっごいアットホームな情景に、うちとの落差を

感じてしまう。うちは、永遠君に言わせるとクールで

さばさばしてるとは訊いたけど、確かにそうだ。


遺品をまるで幼い子供のように、捨てると言い張る祖母。

携帯くらい、あげてもいいのに、忘れさせるために、

やるなと言う母方の叔父と祖母。


そんなこと言われたって、

一日中部屋にこもっている私でさえ、

あっと言う間の一ヶ月なのに、

働いていても、もう一ヶ月?と、思っているだろう

永遠君が何故、こんなにも、邪険にされるのかが、

もう、許せない。


あんなにも愛してくれるひとなど、いなかった

未来に最期まで、愛を貫いてくれた彼の存在すらも、

もう、過去のものにしたいと、ヒステリーを起こす

87歳の祖母。


こころが狭いのか、何なのか。


それから、自殺未遂を叔父への

当てつけにやったと

伝えてよと、祖母に手紙で頼むと、

半狂乱になり、拒否する祖母。


うちは変だ。

おかしい。

考え方が。


永遠君は、月命日くらい来たそうに

していて、昨晩の私のメールに涙を

流してしまったとのことだった。


来ると言っても、月に一回のことだし、

彼の存在がどれだけ、未来のこころに

深く刻み込まれたのかが分からない、

祖母と叔父。


私達、姉妹は、架空では、もう、誰にも

文句を言わせない、結婚相手を見つけるんだと

言う、理想があった。


未来には、出来たけど、私には、未だ訪れず、

もう、ダメだろうと諦めきっている。


そして、一切の連絡を断ちたい祖母に隠れて、

細々と未来の話などを中心に永遠君と私は、

メールを交わしている。そのくらいの余韻に

浸らせてあげてもいいんじゃないだろうか?


私は、そう思うからこそ、メールに未来はこう言ってた、

ああ、やってたとかを幸せな記憶だけ、送り続けたいと

思っている。


それすらも、もうすぐ出来なくなる。

多分、いくばくかのお金になる保険はまず、

解約するだろう。


そして、ひとり暮らしをしばらくする。

仕事は、作家のつもりなので、

しばらく打ち込んでみる生活を中心に

送る。


そして、祖母にははっきりと、遺産は相続しない、

一切と告げてある。そして、お通夜とかお葬式には、

参加したくないけど、(叔父が来るから)

一応、しないことには、格好が付かないので、

二日間だけ我慢すればいいことなのだし、

何とか耐え切ろう。


叔父は、態度を急変させるだろう。

おそらくは、本能のまま、私をなじるだろう。

ふっ。バカなひとと思いながら、あさっての方でも、

見ておこう。


叔父は、鼻水を垂らしながらもお葬式では泣いていたが、

その状況が彼に涙を流させただけだとしか、

思えない。


だって、アパートの保証人にすら、

なってくれない叔父であり、

こないだ来た時だって、

非情なひとでしかなくって、

もう、身内しか愛せないひとなんだなと

思うと、私も同じ姓を名乗っているけど、

もう、この姓からは逃げたい。


未来のロマンスを鼻で笑うふたり。

あなたたちは、恋愛でこころ痛めたり、

喜んだり、切なくなったりと言った、経験が

ない可哀想なひとびと。


そりゃあ、分からないでしょう。永遠君が

どんなにか、未来を愛してることを。


そして、哀しい材料は、全て記憶の彼方へと、

向かわせろと言わんばかりの

家族と言う名の冷酷な鬼でしかない、

○○家の血を継いだ自分が恨めしい。


かと言って、父に相談しても、あさっての

返事が返ってくるだけ。

よっぽど、バカなんだろうな。


もう、誰に相談してもいいのか、

訳、分からない。


せめて、Iさんと話したい。

未来の自殺のことは、

伝えた記憶は出てこないが、

間違いなくしてるはず。


彼女は、よき理解者である。


ケイくんとのことも、初めから知ってあり、

人望の厚いひと。


きっと、私の気持ちも分かってくれるだろう。


でも。

思うんだけど、どうして、茨城にしかそんな

ひとがいないんだろう?


実家は、冷酷にも過ぎる。


確かに前に進むためには、

一歩を踏み出せないといけない。


でも、出来ない気持ち、分かってくれない

祖母と叔父。


もう、何も言うまい。


言うだけ、疲れるだけだし。